White Ship,Inc - Art Program - EGAKU Workshop - トツキトウカ - 受講者インタビュー Vol.2

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トツキトウカ 卒業インタビュー Vol.2

九門崇さん


日英中の3カ国語を駆使して、中国・インドをグローバルビジネス戦略の視点から、研究・コンサルティングを行う九門さん。この7月には中国・インドビジネスを支援し、アジアで活躍できる次世代のグローバルリーダー育成を行う「株式会社九門崇事務所」を設立されました。そんな九門さんがトツキトウカを振り返って、今どのようなことを感じられているのかお聞きしました。

ー トツキトウカを振り返って、今感じている事は何ですか?

Takashi Kumon 会社を辞め、独立してすぐにトツキトウカに参加したのですが、独立してちょうど1年の日がトツキトウカの最終回でした。1年は思ったよりあっという間でしたね。
最後の作品が、「自然体」というタイトルだったのですが、すごく自然な感覚で絵を描ける様になったと思います。
この10ヶ月間はKuniさんの作品に沿って抽象的なテーマで描いていた訳ですが、今後はもっと具体的な、例えば自分のビジョンのようなものも描いてみたいという気持ちが強く出てきました。

また、今振り返ると、東京海上日動システムズフューチャーセンターでのEGAKU Workshopで、Bobさんと一緒に参加したときは、英語と日本語でのワークが楽しくて、自分の想いの根底にある、情熱と理性が融合していく感覚があって、それが心地よかったですね。


ー トツキトウカをはじめるきっかけは何でしたか?

もともと、アートや創造性には興味がありました。ただ小学生の頃から、自由に描くのは好きだけれど、風景や物をそのまま描くのが苦手ということにコンプレックスを感じていて、でもその反面「描きたい」という想いも持っていました。初めてEGAKU Workshopに参加した時には、言われた通りに描けないというフラストレーションが溶けていく感覚がありました。

こすって描いているうちにどんどん楽しくなってきて。こう描かなければいけない、という枠組みがないのが良いのでしょうね。最初に参加したEGAKU Workshopでは、小さい頃好きだった怪獣がいつの間にか出てきて、描きながら怪獣とは関係のない色々な発想が出てきました。それをそのまま指で表現していくという感覚がとても楽しかったです。
子どもの頃のように素直な感覚で描くことができて、これを続けたら良いかもしれないと思ったんです。


ー 描きながらどのように感覚が変化していきましたか?

何か具体的なものを描こうと思うと苦しくなるんだな、ということに初めに気づいて、何かを描こうとしなくていいんだ、何も気にしなくていいんだ、と思うと楽になりました。
それから何度か描いているうちに、自分が思ったように描けない、というフラストレーションが出てきました。
Takashi Kumon それでも毎回楽しくて続けていました。試行錯誤しながら描く事で自分の感覚が毎回違うのが楽しかったです。

自分ではあまり変化はわからなかったのですが、トツキトウカの後半になって、人から「雰囲気が変わったね」とか、「楽しそうだね」と言われることが多くなりました。自分の価値観をなにかしら表現することが大事なことなんだと気づき始めましたし、人前で話をする時にも、少しずつ自分らしい表現が出てくる様になってきたと思います。


ー 九門さんの中で、ロジカルな思考と、自分の想いがなかなか融合しない、という感覚はありますか?

そういうのはありましたね。それまでは、仕事でも事実に基づくことを書いたり話したりしていたのですが、なんとなくそれだけだと面白くないなということを感じていました。描き出して徐々に自分自身のこと、自分が感じていることをうまく組み合わせることができるようになってきたと思います。人前で話す時に、どこか深い自信が持てなかった部分も薄れていきました。

最近嬉しいのは、話の中で自分が意図していなかった部分を感じてもらえたり、勇気をもらえるフィードバックが増えたことです。
自分を出せるようになると相手にも伝わりやすいし、さまざまな良い結果に繋がるんだと思います。

例えば、EGAKU Workshopでうさぎの絵を描いた時は、怒りの感情を込めて描いたのですが、いざ鑑賞してみると「かわいい」「面白い」というコメントをもらったりして、それがとても意外で楽しかった。自分のネガティブな感情であっても、受け取る人はネガティブに捉えていないかもしれないということを感じたし、自分の知らなかった自分を見てもらえた気がして嬉しかったですね。


ー その変化って、九門さんの個性としてもともとあったものが出てきたって感じでしょうか。

もともとあったのだけれど、自分が認めてなかったり気づいていなかったりしたものが、絵を描いていくことで表に出てきて、周りにも伝わりやすくなってきたんだと思います。なかなか日常で自分の深い部分を出すのは難しいですが、描くという場でその思いをぶつけているような感じがありました。
EGAKU Workshopはそういう場としてもすごく良かったのかもしれませんね。


ー この1月に開催した日中の学生向けのEGAKU Workshopでは、描くことと対話を組み合わせたプログラムを、一緒に設計して提供しましたが、その経緯や想い、感じたことを教えて下さい。

もともと自分が中国の経済・ビジネスを仕事で専門にしているというのはあるのですが、もっというと、日本人と中国や海外の人がよりお互いの「多様性」を認め合えるような社会をつくりたい、という想いがあるんです。EGAKU Workshopも是非グローバルな場で開きたいと思っていました。

トツキトウカも最終章に入った頃、ハーバード・ビジネススクール(HBS)山崎さんとの話が発展して、中国の若者たちと日中関係を考えるワークショップをやろうと言うことになったんです。
対話とアートを組み合わせるという試みは、自分にとって初めてだったので、はじめは不安がありました。特に去年は日中関係でも反日デモや尖閣諸島の問題があり、日本と中国の学生が、学校で習ったことではなく、本当に自分の言葉で話してくれるだろうか心配でした。
でも結果的にみな素晴らしい絵を描いていたし、対話の場でも自分の言葉で語っている場面が見られたので、今後は日中やアジアの学生が交流していく場でもっとこういう試みができればと思っています。

一歩ニュアンスを間違えるとお互いの感情的な部分に火をつけてしまうということを、中国に住んでいた時やグローバルビジネスの現場で実感しているので、そういう意味でもアートの個人と個人をつないでいく力を改めて感じました。
ワークの最後にコミットメントとしてひとりひとり発言してもらった時も、良いことを言おうというのではなく、全員がきちんと自分の言葉で話していて、とても良かったと思います。そして中国の学生達も、とても刺激を受けていたのが意外でもあり、嬉しかったですね。


ー アーティストであるKuniさんについてどのように感じていますか?

自分とは全然やっている分野は違うのですが、どこか近しいものを感じます。そして、アーティストとして絵を描きつつ、それに留まらず違う分野の人と交流をしたり、違う視点でものを見たりしているので、面白い人だなと思っています。
そういう感覚は自分にもある気がしていて、例えば中国などアジアビジネスの仕事をしながらも、アートやソーシャルな活動をしていたいんです。それは、バラバラなことをやっているようでいて、実はどこか本質的な所でつながっているという感覚だと思います。
もともと、アーティストに対しては、偏見もなくて、自由な良いイメージでした。また、私が文章を書き出した頃から、アーティストと呼ばれる方と交流があって、波長が合うことが多かったので、文章と絵や写真では表現の方法は違いますが、本質的な感性は同じではないかと感じていました。
ただ、今まで会ったアーティストは、たとえば絵を描くこと、音楽をやることだけを追求している人が多かったので、それ以外の話ができないという感覚はありましたね。Kuniさんとはその点が違うと思いますね。


ー 未来に向けてご自身のこと、社会のこと、又IOCAなどの取り組みについて考えていることを教えてください。

コミュニケーションアートの取り組みで出逢ったメンバーは、一緒に描いている中でとても深い所で繋がっている感覚があって、大事にしていきたい関係性ですね。そしてグローバル・アジアというフィールドにこうしたコミュニティーを広げて行きたいと思っています。日本以外の場所で、描くことを通じて広がるコミュニティーができればいいなと思っています。そしてその中で自分にできることがあれば嬉しいと思っています。


Takashi Kumon ー ここで起こっていることが違う国で起こっていったら面白いですよね。

本質は同じでも、違うプロセスで発展していったら面白いだろうなと思います。
まずは、日本とそれ以外の国が共通に持っている感覚をシェアできるような場が創れればと思っています。

ビジネスをするにしても、ソーシャルな活動をするにしても、根本的には人間が普遍的に持っているものが根底にあって、その上で何らかの活動をしているだけだと思っています。その根元の部分がしっかりしていないと、自分も認めて、人も認めるといったお互いの多様性を認め合う世界にはなっていかないと思います。一人一人が違っていていい、でもその根底には地球に生きる人間として繋がっている何かがあるということです。
自分がこれから創ろうとしている会社では、そういう社会をつくるために日本とアジアを繋ぐビジネスをサポートし、アジア人という視点を持ったグローバル人材を育成するお手伝いをして行きたいと思っています。


ー まさに立ち上げられている会社のビジョンですね。独立して会社を立ち上げる中で、トツキトウカで描き続けたことは、どのように影響があると思いますか?

意識はしていなくても自然な流れとして、会社を作るときのビジョンが明確になり、そして意欲が湧いてきたということもあって、これはとても有り難かったと思います。独立して会社を設立しようか悩んでいた頃、想いや理念が自分の中から湧き出てくる感じがしなかったんです。そんな状態で企業体をつくることに違和感があって、でもその違和感を認識できることは大切なのではないかと思っていました。 そんな中、絵を描き続けることで、その違和感はだんだんなくなっていきました。それがよかったと思います。


ー 最後に、九門さんにとってコミュニケーションアートって一言で言うとなんでしょうか。

今の時点で感じているのは、人間が本来持っていた感覚だったり、想いだったり、体が忘れてしまっている身体感覚を取り戻すという行為がコミュニケーションアートなのかなと思っています。 それがもっとより日常の中に入りこんで、誰もコミュニケーションアートと呼ばなくなって、普通の行為になれば良いなと思います。

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