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EGAKU展 オープニング・トークセッション

-EGAKU Programが与えるもの-



EGAKU Program連続受講者の作品発表の場である「EGAKU展」のオープニングにおいてトークセッションが開催されました。
「なぜ今、ビジネスパーソンが絵を描き続けているのか?」「ビジネスとアートとの関係はどこにあるのか?」大人の学び・組織開発の研究者である中原淳氏のイントロダクションからはじまり、3名のスピーカーの体験とその視点から「EGAKU Programが与えるもの」 が明らかにされていきました。「イノベーションとアートの意外な関係性」や、「人と組織の創造性をダイナミックに開発するためのアートによる学びの場の可能性」について考えさせられる、示唆に富んだトークセッションとなりました。

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モデレーター:中原淳氏(東京大学 大学総合教育研究センター 准教授)
スピーカー:
小柴満信氏 JSR株式会社 代表取締役社長
矢島章夫氏 独立行政法人 科学技術振興機構 シニアフェロー
川崎美保氏 株式会社グロービス オーガニゼーションラーニング コンサルタント

EGAKU Program ビジネスパーソン向けの背景
アーティスト谷澤邦彦がコミュニケーションアートという考えの元、2002年に子ども向けに考案したアートプログラム。2004年ビジネスパーソン向けに開催、2007年よりビジネスパーソン向けに毎月定期的に開催している。同年より企業の新人研修などから採用されはじめ、2010年より大手企業の経営幹部への導入が本格的にはじまる。これまでに生まれた作品は7400枚、内企業の研修などで生まれた作品が3470枚、経営幹部が描いた作品が370枚、ビジネスパーソンで2回以上描いている人が500名以上、10回以上描き続けている人が70名。一方で子どもから大学生向けは、谷澤が理事長を務めるNPO法人インスティテュート・オブ・コミュニケーションアート(IOCA)を通してプロボノとして実施している。

イントロダクション

今、組織には無目的耐性・視界不良耐性が必要だ

中原淳氏(東京大学 大学総合教育研究センター 准教授)


Jun Nakahara まずはトークセッションのモデレーターを勤めていただく中原淳先生から、経営学習論と企業における人々の学習・成長・リーダーシップのあり方を研究している立場の人間が、なぜここにいるのか?というお話ははじまりました。
EGAKU Programとの出逢いは、Webで見つけ、学習者として参加したところから。参加してみて一番興味深かったのは「内面に浮かんだものを意味づけられ、意味づけるプロセス」が体験できたことなのだそう。今回トークセッションのモデレーターの依頼があった時、忙しいという葛藤はあったものの、どんな方が来るのかなという興味があって、引き受けたとのことでした。



なぜ、そもそもEGAKUに参加したのか?3つの理由


null 理由① 内省のためには媒体が必要

大人が学ぶときには「内省:reflection」が必要だが、内省してください~振り返ってください~と言ってもなかなかできない、つまり内省するためには「内省のための触媒」がいるんです。

研究調査の中で、研修を頼まれることもあり、いろいろな媒体を活用しながらこれまでも学びの場をつくってきました。例えば駆け出しマネージャーが職場をいかに率いるか決めるためにレゴブロックを活用したり、シニアがこの先のキャリアをデジタルストーリーテリング(3分ムービー)で表現したり、リトルプレイス(コラージュ)で自分のこれまでを表現するなど。 その立場からも、パステルで絵を描くという行為にも興味を持った訳です。


null 理由② 今、組織には「無目的耐性 ≒ 不良視界耐性」が必要だ!

今、研究していてすごく感じていることが、「無目的耐性」「不良視界耐性」が必要だということ。大学も前のめりになっていて、無目的なことに耐えられなくなってきているんですよね。
イノベーションを研究していくと、実はいいアイディアや発想はあるのに、それを活かすことができないでいることの方が多い。新しいものが生まれる組織にするためには、先が見えないものでも受容する風土だったり、いいアイディアをつぶさずに、鑑賞しあえる人的つながりだったりが必要だと考えています。
その中で、アートとは一見「無目的」で「不良視界」である。それを組織で実施することで「無目的耐性」を身につけることが出来るのではないかと思います。イノベーションは15年20年もかかるのだから、絵を描くくらいでガタガタ言っていたらイノベーションはほど遠いと思う。そしてお互いをリスペクトする関係をつくり、何とか意味づけようとし、意味を発見しようとする媒体にもなるのではないかと思います。


null 理由③ 「マネジメントサイエンス」に加えて「マネジメント
アート」という考え方も大事になってくるのではないか


今までは経営学の文脈では「マネジメントサイエンス」が注目されて来ました。でもこれからは「サイエンス」だけではなく、「マネジメントアート」という考え方も大事になってくると考えています。ただ、3年前にFacebookに「マネージメントアート」のページをつくったが、いまだに「いいね!」が61しか集まらない。(笑)
「ビジネス」と「アート」は最も「ソリが悪い」つまり「危険」なのではないかとも思っているのですが、一方でそこに何かがあるのではないかと思っているんです。
そんな訳で、自分自身の論文・作品も「統計・数字バリバリのサイエンス」と「愉しくも怪しいアートの世界」の両方を押さえています。ただ、どちらも「目に見えないもの」を「気づかせるもの」でもあると言える。 実はいつか両方を統合した新しいビジネススクールを創りたいという夢を持っています。


「今、組織には「無目的耐性」が必要だ!」「絵を描くくらいでガタガタいっていたらイノベーションは遠い。」「いつかArt and Science of Managementスクールをつくりたい」そんな刺激的なお話からはじまったトークセッション。 そしてそんな中原先生の立場からしても、「ビジネスとソリが悪く」「怪しい」アートが、組織に導入され、ビジネスリーダーを魅了している事実はとても興味深いとのこと。 この後は中原先生のナビゲートの元、3人のスピーカーそれぞれの立場から「EGAKU Programが与えるもの」について語っていただきました。

Talk 1

自分のcomfort zoneを抜け出す勇気

小柴満信氏 JSR株式会社 代表取締役社長


イノベーションを牽引する経営陣の意識変革のために、ビジネスリーダーが10ヶ月描き続ける「Vision Voyage Program」を2013年10月より役員6名と共に受講。まずはその様子をminiムービーで見てもらいました。


null 中原さん:ムービーでは最初に「社長の決断」って出ていましたが、それはどういう人達が対象で、どんな経緯で行なったのでしょうか?

小柴さん:昨年の夏、役員で将来について討議するにあたり、シグマクシスさんに入ってもらうことにしました。その中のプログラムの一貫で、絵を描くという取り組みを体験したんです。その時は、正直まったく意味が分からなかった。ただ、プログラムを振り返った時、色々感じるものがあった。特に 「こんなものやって何になるの?」というメンバーの感想を聞いて、これはまずいと思いましたね。

中原さん:それはなぜそう思われたのでしょうか?

小柴さん:JSRは、合成ゴムの事業から始まった会社です。そして「Materials Innovation」−材料を通したイノベーション、つまり「マテリアルを通じて価値を創造する」という企業理念のもとで、既存の合成ゴムの事業から色々な分野に展開し、事業を拡大してきました。 ただ、マテリアルズビジネスというものは、一つ一つの事業規模は本当に小さいビジネスです。さまざまな小さい物を少しずつ育て、何百億の事業に持って行かなければならない。そんな活動をする中で我々はそれなりに成功してきた訳です。

そして今回一緒にプログラムに参加した6人のメンバーはかなり早くして役員になっていて、達成感もある。そして、とにかく直線的に結果に結びつく方に走っていく。ただ、それをだけやっていると絶対イノベーションは起きないですよね。

中原さんVision Voyageプログラムにはどんな方を選ばれたのでしょうか?

null 小柴さん:うちの会社の経営陣は比較的若い、自分も若いし、周りも若い。役員になるのも40後半。今回のメンバーというのは役員なりたての47から51歳までの次世代リーダーになります。

中原さん:そのメンバーの方は、今回の取り組みをすごくポジティブに捉えてられましたか?

小柴さん:大半は「なぜやらなければならないんだ」という反応でしたね。ただ僕は無目的で良い。これによってどんな成果があるのかとうことを求めないのが大切だと思っていました。

これからもイノベーションを生み出し続ける組織にしていくためには、これまでの成功体験に縛られず、常に自分のcomfort zoneを踏み出し続ける勇気を持つことが、次世代のリーダーに求められていると思っています。だから今回は、自分たちが一番得意ではない、まったく対極なことにチャレンジする。結果が見えない、達成感のないことにチャレンジする。それがポイントだと思っていました。

中原さん: 成長したり、ポジションが上がって行くと、違和感を感じるとか、不快を感じることって無くなってきますよね。

小柴さん:まさに自分の得意な分野だけでやっていくと、それはそうなりますよね。ただMaterials Innovationとなると、既存の自動車タイア、半導体、LCDそれだけでは生きて行けないので、また新しい事業が必要になります。そうするとまるで幼稚園生が大学院に入るように、全く新しい業界に飛び込んでいかなければならない。そして新しい人と出逢い、新しい人脈をつくり、それから新しい知識を得ることが必要になってきます。ただこれまで築き上げたものがある我々には、それはものすごい不安を感じることでもあるんです。でもそこに立ち向かわなければならない。特に若いメンバーにそこにチャレンジして欲しいと思っています。

中原さん:プログラムが終わって参加者はどのように変わりましたか?

小柴さん:それぞれ人によって違いますね。絵を描くというのは、無意味な行為だからこそ、メンバー一人一人に自分で「意味づけ」をして欲しいと思っています。選出したメンバーは次の経営を担う大切な人財です。このメンバーは、もちろんスキルも能力もある。最後は自分の心のReadinessの問題。覚悟の問題だと思っています。イノベーションを牽引するリーダーという意味で、それがどこまで出来きたかというと、僕はまだ出来てないと感じています。なので、次のリーダー候補も加えてながら、来期も続けてもらおうと思っています。

Talk 2

トップダウン思考からボトムアップ思考への変化

矢島章夫氏(独立行政法人 科学技術振興機構 シニアフェロー)


Akio Yajima 2014年3月まで日立システムズ特別技術顧問。日立システムズの経営陣にEGAKU Program 含むVision Forestプログラムの導入を推進したことをきっかけに、個人として「トツキトオカ」を受講。 10ヶ月の受講中に自分の思考の変化を実感し、2クール受講、今年3月に20ヶ月を終了している。


矢島さん:自社の役員向けに導入を検討する中で、自分自身がトツキトオカ(個人が10ヶ月描き続けるプログラム)を通して何がどのように変わるのか、それとも変わらないのか、とても興味を持ちました。 はじめてみて、まずは自分自身の思考が「トップダウン」的だということに気づきました。つまりテーマに対してまずは論理的に考え、それを色と形で表現しようと試行錯誤するんです。ただそうすると絵の場合は想定通りにはならない。トップダウン思考だとなかなか思うように出来ないです。トツキトオカの後半になっていくとだんだん「ボトムアップ」的思考ができるようになってきました。つまり手を動かしながら、テーマに対して意味づけをしていくというプロセスです。そして自分独自の表現スタイルのようなものも出てきた。これは大きな変化だと思いましたね。

null ただ、10ヶ月終えてみて、作品の鑑賞コメントが他の参加者と違って、見たままのコメントが多いことに気づきました。その部分が変わるといいなという想いも湧いて来た。そして同じテーマを再度描いたら自分の表現がどのように変化するのかも知りたくなりました。

2クール目に入ってからは、「トップダウン」思考と「ボトムアップ」思考の統合というか、どちらも使っているような感覚がしました。そして20回を迎える頃には、フロー状態というのでしょうか、とても自由にリラックスして、創造し、表現できる感覚になった気がしています。それを私の中では「fusion」と呼んでいます。

ここでは、自身の作品の変化を時系列に表現していますが、そこに立体的に大きく2つの刺激が与えられます。

null ひとつは同じテーマで描いてい
るのに、一緒に参加した人たち
が全く違う価値観、考え方で
絵を描いている事。その多様な
価値観に毎回触れることができ
るというのはとても豊かな体験
でした。まさに「多様性」を
実感したのです。

そして、その多様な価値観を持つ方々から、自分の作品に対して、自分が考えもしない多様な解釈に触れることです。まさにこれももうひとつの「多様性」の体験です。

nullまた10ヶ月を終えた時に、改めて「トツキトオカ」の概要説明の中にある「お勧めしたい方」の項目を見て驚きました。すべて自分の体験と一致していたんです。

そんな20ヶ月に渡る濃厚な時間を過ごしたことにより、「描き続けること」とは何なのかという本質に迫れた気がしています。

そしてそれは「大切にしているもの(ICON)と生き方(STYLE)の発見の旅」であり、「現状の生き方から可能性を探すロードマップである」という
こと。

これからも、このプロセスで得たことを持って、いろいろなことに挑戦していきたいと思います。

Talk 3

「与えられた役割」から「内発性に基づいた活動」への転換の場

川崎美保(株式会社グロービス オーガニゼーションラーニング コンサルタント)


Miho Kawasaki 2013年度青山学院大学大学院 社会情報研究科 社会情報学専攻 ヒューマンイノベーションコース修了。修士論文「企業人の学習プロセスに関する研究~継続的なアートワークショップの参加を通じて」は「トツキトオカ」受講者のインタビューを通してEGAKU Programの学習プロセスを明らかにしたもの。現在本人自身も「トツキトオカ」を受講中。


川崎さん:ゼネコンで10年間の人事経験、そして現在の研修を設計する立場で、さまざまな日本の企業組織を見続けて来た中で、ずっと違和感に思って来たことがあります。 皆さんすごく真面目で、 有能で、責任感もおありになるのだけれど、一方でイキイキとか楽しいとか、そういうのは感じにくい。「与えられた役割」にとても忠実なのですが、本当に心からやりたいというところが見えにくい。つまり個が組織のなかで埋没して、個の力が活かしきれていないと感じていました。 どうしたら企業組織における役割や義務だけでなく、「内発性に基づいた活動」へと転換していけるのか、それが自分の長年の問題意識でした。

そして数年前このEGAKU Programに出逢ってから、連続的にEGAKU Programを受講する「トツキトオカ」にそのヒントがあるのではないかと思ったのが、研究を始めた動機です。


驚きの2つの大きな変化

「トツキトオカ」の学びのプロセスを、ビジネスパーソンである受講生のインタビューを通して分析した結果、一番の発見と驚きは、二つの「変化」が見られたことです。

一つは「行動の変化」です。それも「自分の新たな可能性を追求する、自分をありたい方向に変えよう!という想いが及ぼす行動の変化」です。もう一つは「判断軸/評価軸の変化」つまり「社会的な評価基準から自己内の価値基準への転換」でした。ただし、これは相対的なものです。


null 3段階の「学びのプロセス」が明らかに

先ほどの矢島さんだけでは無く、他の受講生もそれぞれが感じた「自己の変化」があり、そこには同じような変化が見られます。
継続的にEGAKU Programに参加している企業人の「学びのプロセス」には3つの段階が ありました。

「自己表現に対する不安が払拭される」→「アート的な学びのサイクル」
 →「日常に結びつく」

Step 1: 自己表現に対する不安が払拭される


null 私たちは大人としても、企業人としても、普段は、自分の想いや価値観を出すことはあまり機会が少ないと思います。恥ずかしいし、その上、自分を他者からどう思われるだろうかと気になる。素の自分を表現するというのはすごく勇気がいるんですよね。

EGAKU Programでは、そんなに上手く描けないし、思った通りにいかないことも多い。そして結果的に落ち込んだりと葛藤するということが起こりがちです。でも同時に描くことの楽しさを実感したり、絵を通して人の想いを深く知り、人間の表現はこんなにも多様なんだ・・と違いを楽しむこともできるようになる。

このあたりの複雑な心境を行ったり来たりしていく中で 「安心して表現出来る」「何を言っても大丈夫なんだな」ということが確認されると、不安が払拭される。 これがインタビューをさせてもらった方々から共通に見受けられた状態です。実際には、ほぼ3回目くらいからこうした変化が見られることが多く、その後「アート的な学びのサイクル」に入っていきます。

Step 2: アート的な学びのサイクル


「アート的学びのサイクル」に入ってからは、見方や表現の違いを身体的に体験するフェーズになるようです。人と自分は違うということは、誰も頭では分かっていることですが、それが本当に腹に落ちて分かるということがここで起こっている。違うということが分かると、今度は「違って良いんだ!」と思う。だから次は「自分の想いをどんどん探究して行こう!」という思考に転換していくようです。

null 「自分にとっての喜びとはどんなものなのか?」「自分にとっての哀しみってどんなものなのか?」あるいは「希望って何だろう?」「そもそも人にとって喜びってなんだろう」そんな風にとどんどん集中して行く。

そして「それを想いっきり表現したい」「出し切りたい,」という想いになる。自分で出し切ったと思えると満足する。「今日は良かった」と思う。他者の評価では無く、自分の中で良かったかどうかが判断基準になる。

ワークショップの後半には、他の参加者の出し切った 想いが作品という形で、ずらっと数十枚飾られるので、またそこで互いの違いを受けとめるという流れになります。これがグルグルと起こっているというのが「アート的な学びのサイクル」です。

このプロセスで一つ重要なことは、自分が選択をし続けること 。絵は選択の連続によって出来上がっていく。12色のキャンバスの中でどの色を選ぶのか、パステルは何色を選ぶのか、どこから描き始めるのか、どこまで考え、描き終えるのか。さまざまな選択肢があるので、それを知らぬ間に,あるいは意識的に選択をし続けていく。そして出来上がった絵を鑑賞し、自分の選択に直面し、自分が表現したもの、選択したことに責任を持つ。この繰り返しが、「社会的な評価基準から自己内の価値基準への転換」を促していると思います。 null

Step 3: 日常に結びつく


結果として参加者は何を獲得しているのか?そしてワークショップの学びの場を離れた日常にはどう結びつくのでしょうか?

これは、自発的に参加したか、会社派遣かの参加動機によっての違いが見えました。どちらにも見られたのが「相手を理解しよう」という意識が高まっていること。つまり多様性を認める、さまざまな価値観を受容する力が高まったということです。 一方で自発的に参加した人にのみ見られたのが、自分の新しい可能性を追求する意欲。「AかBか」という「or」の思考ではなく、「AとB」つまり「and」という思考、統合的な思考に変わってくる、そうすると見える世界も変わってくる。 自分には次のステップや可能性、何かがあるんではないかなと考えられるようになる。何か自分の可能性が見えてくる。これはとても大きな変化です。
つまり冒頭にお伝えしたように「自分の新たな可能性を追求する、自分をありたい方向に変えよう!という想いが及ぼす行動の変化」が起こっています。
そしてこのような自己の可能性に気づくことは、ご自身にとって喜びをもたらします。このような自分の変化を体験した人は、「この体験を人にも伝えたい」と思うようになり、学びを周囲に広げようとする行動がはじまっていました。


川崎さんご自身もこの2月からトツキトオカを始めたとのこと。毎回「人間の生の声」「素のシンプルな思い」を力強く感じ、刺激に満ちていることを肌で実感しているそうです。そして、人材育成のプロフェッショナルの目線からも、「個が組織の中で力を発揮出来るようになるための転換の場」として、EGAKU Programの可能性を感じているという。つまりEGAKU Programは「自分の軸が見えて来ることで個の活力を取り戻すプログラム」であり「相互理解や他者尊重によってチームの力を発揮するためのパワフルなツールである」と考えているということでした。

総括

「アートがもたらす3つの違和感が大きな発展のカギ」

中原淳氏(東京大学 大学総合教育研究センター 准教授)


アートと大人の学びという観点から言うと、私たちは普段、「客観的になれ」と言われる、主観的になれとは言われないですよね。会社の中、組織の中で「主観的」というとネガティブワードだと思います。ある意味で自分と向き合うとか、主観的に表現するということは、いつもとは違う活動になるんですよね。だからある人にとってはとても違和感のある行為になる。
もうひとつは、子どもの頃から私たちは、チャージしろと言われてきた。チャージは充電する、貯めるということ。アートの場合はその逆でディスチャージする、本質を出すこと。これも慣れた活動とは違う。ずっとチャージし続けてきた人が、いきなりディスチャージしてよ、と言われたときに、えっ!?と思うちゃう。
3つ目は、上手い下手という価値観から私たちはなかなか抜け出せない。でもそれを感じ、考えさせるものアート。優劣というのを越えて考えられるようになったときに、大きな発展があるのではないかと思います。
この3つの観点から言っても、いつもと違う活動。そのいつもと違う活動に一旦向き合ってみませんか?ということなのではないでしょうか。 何があるかはわからないけれどね。(笑)


編集者より
アートがもたらす違和感の先には何があるのでしょうか。
①「主観的であること」つまり自ら考え、意味づけし、表現すること。
②「本質を自ら表現すること」つまり知識を詰め込み、情報を詰め込むのではなく、本質を表現すること。
③「優劣の価値観を越えること」つまり相対的な評価ではなく、自ら答えのないものに立ち向かって行く楽しさ。
④「多様性の豊かさを実感すること」つまり自分も含めた人間は多様性にあふれているということ。
今回のトークセッションを通して見えてきた、これらはどれもこれからの時代を牽引するリーダーが探求する価値のある要素だと思います。
そして、描き続けることの意味がよりクリアに見えてきた有意義な時間でした。モデレーターを快くお引き受けいただいた中原先生、スピーカーの小柴さん、矢島さん、川崎さん、そして参加者のみなさん本当にありがとうございました。